二人の「兄」ー読書感想「オブリヴィオン」(遠田潤子)

二人の「兄」の間で揺れる物語である。遠田潤子さんの小説「オブリヴィオン」は、この揺れ方に人生のあらゆる悲哀や困難、喜びや絶望を詰め込んだ。妻を殺害した罪で服役し、出所した森二。刑務所の外で待っていたのは、アングラ世界で生きる実兄の光一と、「なぜ妹を殺したのか」と問い詰める圭介だった。二人の兄は運命…