文学批評 「瀬戸内寂聴『場所』 ――感じられる場所を求めて」 

「瀬戸内寂聴『場所』 ――感じられる場所を求めて」 瀬戸内寂聴は少なくとも二度、自伝的作品を書いている。 最初は五十一歳で出家する前の四十代半ば過ぎに瀬戸内晴美の名で『いずこより』を書いた。二度目は七十七歳にして、舞台となった土地を五十年余りから三十年ぶりに次々訪ね歩いて短編連作『場所』を書きあげた。 …