『ららら科學の子』(文藝春秋) - 著者:矢作 俊彦 - 豊崎 由美による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
矢作 俊彦『ららら科學の子』への豊崎 由美の書評。主人公に、名前がない。本当はあるのだろうけれど、この小説の中で名前を名乗ることもなければ、呼ばれることもついにない。「彼」は学生運動華やかなりし一九六八年、殺人未遂に問われ、逃れるように中国に密航。文化大革命をその目で見