『台所のおと』(講談社) - 著者:幸田 文 - 森 まゆみによる書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

幸田 文『台所のおと』への森 まゆみの書評。表題作。静かな、しずかな小説である。佐吉とあきはたがいに何度目かの妻であり、夫である。二十も年の離れた二人は小さな料理屋をいとなんでいた。佐吉は寝勝手をかえて、仰向きを横むきにしたが、首だけを少しよじって、下側になる方