自作の小説「祖父の時計 第2話」境界の村シリーズ

翌日、祖父の遺体は神妙な手つきで裸にされて、全身を湯で洗われ、髪や髭を剃られ、爪もきれいに切りそろえられた。あの世への旅立ちなので、身なりを整えるのだという話にわたしは妙に納得した。それらの儀式の一連の流れは、あの世が存在するという大いなる仮想の上に成り立っていたわけだが、その中にどっぷり浸ってい…