自作の小説「祖父の時計 第5話」境界の村シリーズ - 3月 24

遠洋航路の船乗りだった父は、三、四ヵ月に一週間くらいの割合で家に帰って来た。日常的には父の存在はまったくなく、幼いわたしと姉にとっては、その帰宅は祭り以上にめでたく、何にも増して待ちわびているものであった。 祖父は父親代わりにいろいろなことを教えてくれた。男としての義務だと感じていたのかもしれないし…