自作の小説「祖父の時計第六話 」 猫の村の物語

そして右側には海が広がる。一年を通じて、その青は山の変化する様々な色合いを際立たせつつ、時には鉛色にうねり、時には寒気の中一面に水蒸気が上がったりもした。わたしはこの海が好きだった。この海は世界のどこかを航海中の父と、直接つながっていた。海に向かって話しかければ、それは父への言葉となるのだった。 そ…