連載小説「あの夏の向こうに」第10話  by古荘 英雄

小説と詩の創作と文学エセー ママはその夜、ラメールを開けるのはやめた。少し風邪気味で、結局開店時間になっても直らなかった。熱っぽかったし、咳も出た。しかし、ことのほか波音が聞こえる夜だったから、しばらくそれを味わってから帰ることにした。 波音を聞くために、この店を買ったようなものだった。波音が響く店…