連載小説「あの夏の向こうに」第11話  by古荘 英雄

小説と詩の創作と文学エセー 柏木と麻美が《校舎》に入った時、カウンターには信一がいて、何やら西野と深刻そうに話していた。 柏木は近寄りがたい雰囲気を感じて、いつものカウンターの席には着かなかった。代わりに、プラトン全集の並ぶソファーセットにと深々と座って煙草に火を点けた。 「アイスミルクティーか?」 …