名詩の紹介:『一点鐘』三好達治 昔高校の教科書に必ず載っていた昔を懐かしむ詩

『一点鐘』 靜かだつた靜かな夜だつた時折りにはかに風が吹いたその風は そのまま遠くへ吹きすぎた一二瞬の後 いつそう靜かになつたさうして夜が更けたそんな小さな旋じ風も その後谿間を走らない…… 一時が鳴つた二時が鳴つた一世紀の半ばを生きた 顏の黃ばんだ老人の あの古い柱時計柱時計の夜半の歌 山の根の冬の旅籠の…