『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(ケン・リュウ:編集・英訳、中原尚哉・他:翻訳)

――――  中国SFは中国に関する物語ばかりではない。例えば馬伯庸(マー・ボーヨン)の「沈黙都市」はオーウェルの『一九八四年』へのオマージュであり、同時に冷戦後に残された見えない壁の描写でもある。劉慈欣(リウ・ツーシン)は「神様の介護係」で文明の拡大と資源の枯渇という一般的な主張を、中国の地方の村を舞台に…