[ふれる/かたどる/よこぎる]へ向けての覚え書き | 町野 三佐紀

静かな震え。 低いささやきが鳴っている。空気、距離、風の音。 耳を澄ますと、多くのうなりに紛れながら、たちあらわれる息づかい。 深く深く、意識の奥深く。低く長い、地響きと波のざわめき。 静寂のなかの低いささやき。聞き取れない声が聞こえる。 溜まりに溜まった静けさは、耐えきれずにはち切れる。 一瞬の閃光。…