谷川俊太郎の十篇(8 父の死) - 詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

谷川俊太郎の十篇(8父の死)父の死私の父は九十四歳四ヶ月で死んだ。死ぬ前日に床屋へ行った。その夜半寝床で腹の中のものをすっかり出した。明け方付き添いの人に呼ばれて行ってみると、入歯をはずした口を開け能面の翁そっくりの顔になってもう死んでいた。顔は冷たかったが手足はまだ暖かかった。鼻からも口からも尻…