【○】卵
頭まですっぽりと土色の僧衣【1】をかぶった僧侶たちが、湖畔の砂地から続々と這いだしてくる。遠い昔に心臓を失った砂粒が、指の隙間や僧衣のひだからこぼれ落ちていく。水浴していた蝙蝠【177】が顔をあげる。水際までやってきた僧侶たちは、澄んだ水に擬いものの両腕を深く差し込む。水の冷たさを膚が感じ取ることはな…