柿本人麻呂、妻が亡くなった後に作った歌(2)・・・巻第2-210~212

訓読 >>> 210うつせみと 思ひし時に 取り持ちて わが二人見し 走出(はしりで)の 堤(つつみ)に立てる 槻(つき)の木の こちごちの枝の 春の葉の 茂きが如く 思へりし 妹にはあれど たのめりし 児らにはあれど 世の中を 背(そむ)きし得ねば かぎろひの 燃ゆる荒野(あらの)に 白妙(しろたへ)の 天(あま)領巾…