直木賞受賞作・西條奈加「心淋し川」 よどみに浮上する希望の灯|好書好日

じんわりと目の奥が熱くなった。胸にしみいる小説とはこういうことをいうのだと、読了後著者に思わず感謝の言葉をつぶやいた。 6編の連作でつづられる本書は、ひとことでいって地味な小説である。場所は江戸の千駄木あたりとわかるものの、時代は江...