『きなりの雲』 石田千

あばらの浮いた裸をふたりにさらし、うつむきながら、ここまでと悟った。もういいじゃないかとからだに諭され、ようやく足のうらが、床とじぶんの湿度を感じる。 じろうくんも玲子さんも正直な人だ。正直が過ぎるのでびっくりする。二人を見ていると正直っていびつだと思えてくる。一度正直になってしまば、それまで収まり…