濱口竜介監督『悪は存在しない』映画評|すべてが何かの原因であり、すべてが何かの結果である

きっとこれは繰り返されることになるだろうと瞬時に確信する、あまりにも暗示的な冒頭のショット。 森の木々を地面から見上げる大俯瞰が滑らかに水平移動していくだけといえばだけなのだが、影絵のように浮かび上がる木々の黒い枝はあまりにも禍々しく、また複雑に絡み合っており、低音に寄った弦の不吉な音に身を委ねてそ…