セピア色の傘立て 006『自分を嫌いな彼女がアイドルになる資格』

外へ出ると、冷たさの元凶でもあった雨の音はすっかり止んでいた。 あいつがアイドルデビューするという件は、緑川が『やりたくない』と拒絶したことにより、一旦保留が決定する。すると星乃宮楓と名乗っていた彼女は、忽然と姿を消してしまった。まるで幽霊が突然姿を現し自ずと消滅したかのような、そんな気配さえあった…