流れ降る星の雨音 〜燐〜 005『月と賄賂と猫の箱』

暦も六月に入り、だけど天気はまだ雨がたまに降るくらいで、梅雨入りしたという話も聞いてない。 月香は『最近雨降らないね』とご機嫌斜めだった。どうしてそれが不機嫌になる理由なのかと僕も頭を捻るしかないけど、そんな曇り空の帰り道に甘くない災難が降り注いだんだ。 今日もいつもどおり月香と帰宅するつもりが、校…