流れ降る星の雨音 〜楓〜 004『分厚い雨雲と出逢い』

それは、六月下旬の放課後、雨上がりの午後のことだった。 ここ最近一週間ほどは毎日手に傘を持っていた。ようやく止んだ雨は、だけど今もこれ以上我慢できないほどの空模様の中で、しんしんとその時を待っているだけのようにも伺えた。 登下校にかかる時間は、徒歩で約二十分ほど。雨が降りだす前に、家に辿り着きたい。…