アートと文藝のCafe
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掌編小説「狐部隊」
「狐部隊って知ってた?」 隣りに座った女は、そう言って私の方を振り向く。 「いいや。… 何それ?」 私は、物憂く返事する。 深夜のパブだ。 とっくに電車は終わっている。 地下室の穴倉みたいなカウンターに座っている客は、もう私と女しかいない。 カウンターの中にはバーテンもいない。ウェイターもいない。 音楽も止…