BOL小話〜 雲中の雷鳴

クライネシャイデックで山を眺めるのを諦めて歩き始めて、しばらくすると、雨がいっそう激しくなってきた。霧に巻かれ多様に視界も悪く、まるで雲の中を行くようだ。時々谷に響き渡る雷の音は僕の背筋をピンと伸ばしてくれる。元々雷は嫌いじゃないし、稲妻の一瞬の輝きやその大音響はむしろ好きなくらい。でも雲の中で聞…