『渋沢栄一翁、経済人を叱る』 P99 これについて面白い話がある。それは余が少年時代に父が訓戒の例話としてたびたび語り聞かせたものであるが、そのころ余の実家の付近に、きわめて謹直な勉強家のじいさんが住んでいた。このじいさんは非常な働き人で、朝は寅の刻(午前四時ごろ)に起き、夜は子の刻(午前零時ごろ)に臥…