『王陽明研究』 P1 その頃東洋の先哲とか、その書など、今も大して変りはないが、要するに前世紀の遺物のやうに見なして、若い学生達はほとんど顧みる者もなかつた。私が漢籍などを読んでゐると、異端といふより、むしろ奇物変人視されたものである。それでも私は意としなかつた。「かつて極めて少数の者にしか通じさうも…