第八書簡「遥かなるかな、故郷」

私が生まれ育ったのは、いつも湿った大気に覆われた盆地だった。 夏は蒸し暑く、汗は粘りついて素肌に纏わりつき、冬はいくら着こんでも衣服の下から冷気が入り込んで、底冷えして仕方がなかった。その寒気は、発熱前の悪寒によく似ていた。 どこを向いても、視界には山が飛び込んできた。山々はなだらかであるが、しかし…