IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

薄闇にふと、天井の木目調がシミュラクラを浮かべる時、“それ”は突然、姿を現したのだった。 隣で眠る弟を起こさないようおもむろに立ち上がり、まだ明かりのついたリビングへ、両親の元へ急ぐ。まるで平静を保つかのように、しかし内心では感じたことのない胸騒ぎに襲われながら、引き戸に手を掛ける、ゆっくりと。そして…