霏々 vol.1

霏々 出発地点はなんの変哲もないアスファルトの上の逃げ水。僕は自転車に跨って、視界の先に見える判然としない寝起きの意識みたいなそれを見ていた。その時に抱いていた感情を当時の僕は「無感情」という風に名付けていたと記憶しているが、いま思えばそれは「無感情」でも「無感動」でもなく、「感情」と「感動」そのも…