Gray Scale

終電車に乗ると、私はいつも頭が痛くなる。正面には脊柱までアルコールに溶かされたせいで硬い背凭れのされるがままになっている、半目を開け、意識を失っている男。右斜め前にはブランド物の鞄に品の無いキーホルダーをぶら下げている、何故か二本ずつ傘を持った、どう口を濁しても不潔な婆としか呼び表しようのない二人…