幕間

南戸詠士(みなとえいし)は今日も仕事を終えて、会社の最寄りの駅まで歩いて行った。雨が降っている。濃紺の傘の生地は振り落ちる雨粒を受け止め、それがそれなりの大きさになるまで育てると、順番にひとつずつ端から落としていく。骨は一般的な傘よりもかなり多く見え、また柄の部分は黒塗りながらしっかりと木の手触り…