『憐なる母と娘』 橋本埋木庵

1916年(大5)樋口隆文館刊。前後2巻。版元の広告文によると、日清戦争で戦死した軍人の遺された妻子の悲劇的実話に基づいているという。その美貌が仇となって、横恋慕された妻は義弟夫婦の姦策により金満家の男に凌辱される。明治の頃の小説には性愛に関する記述は省略されることが多いが、この事件に関しては言及するだ…