『不思議』 三宅青軒

1903年(明36)文泉堂刊。珍しい「われは」という一人称で京都在住の青年作家がミステリー仕立ての物語を語る。言文一致体の「だ」「である」を使っているが、語尾だけを漢文調から置き換えた感じで文体としてはどこか堅苦しさがある。東京にいる親友の法学士を久々に訪ねると傷害事件で収監されたという。さらに彼が獄中…