食いだおれ白書
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新世界「ぎふや本家」〜串かつの衣に宿る時代の記憶
新世界という町に降り立つと、時間の感覚が曖昧になる。昭和の残り香と観光地の喧騒が、ねじれるように入り混じっているからだ。通天閣を仰ぎ見て一息つくと、路地の一角に「ぎふや本家」の暖簾が現れる。 大正5年、1916年の創業。初代通天閣が建てられたわずか4年後だ。串かつという大阪の庶民食が、まだこの街に芽を吹き…