書痴の廻廊
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暗殺雑考 ―南京事件と阿部守太郎・前編―
大正二年八月二十一日、第二革命の真っ只中にある支那に於いて、袁世凱率いる北軍に日本の将校が拉致された。 事件の起きた場所に因んで、漢口事件と呼び習わされる一件だ。被害に遭ったのは中清派遣隊付歩兵少尉、西村彦馬。少尉は拘束された後、軍服を剥がれ、指揮刀を奪われた上に、その姿を白昼街中で晒しものにされた…