なおなおマイクロノベル

梅雨空のもと、花が終わった藤棚に実が成りはじめる。子どもの頃、この時期だけ公園にやってきて、藤棚に成った藤の実を毟り取って、そら豆のように焚き火で焼いて食べる爺さんがいた。「藤爺」と呼ばれていたはずなのだが、誰に聞いても憶えていないという。#マイクロノベル くるくるくると、蔓を回しながら支柱に巻きつ…