角の国(世田谷アメ子)

『角の国』 ありふれた話かもしれない。 それでいいのなら。 ◇ 幾何学模様が刻まれた、果てなくつづくガラス面の上に立っていた。 ガラスの底には光を透かせたなめらかな琥珀色の液体が流れ、私の足もとにはゆらめく波紋が反射している。それらはすべて小さな気泡を帯びており、まるで広大な炭酸泉の宇宙に浮かんでいるよ…