エスキース

山深いローカル線の車窓だった。既に日が落ちて、山の稜線が辛うじて判る程度の暗さだった。走行音が変わったから、橋を渡っているらしい。小高いところに人家の明かりが見えた、街路灯の明かりも見えた、起伏に富んだ地形だった。旅先の漠然と憶えている景色を描いて見ようと思ったら、憶えていなかった。 描き始めたら何…