もんじゃ焼き小景

わたしの名前は月子。月島の月から名づけられた。今年で12歳になる。今、わたしの両の手には、はがしが握られている。右、左、右、左、右、左……、熱く焼ける鉄板の上のキャベツを刻む。その向こうには押し黙った父の両の目が光る。わたしにはなるべくそれを意識しないようにする。なにかに取り憑かれた人間の目、奥底に秘…