〈陰〉としての魔術的リアリズム――ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』

本作が日本語に初めて訳されたのは集英社版《世界の文学》の一巻として出版された一九七六年。八四年には同じく集英社から叢書《ラテンアメリカの文学》内の一冊として再刊されたものの、それから三〇年余り――世紀を跨いで二〇一八年を迎えるまで――このラテンアメリカ文学史上の大傑作は入手困難な幻の名作として、古書店…