Conceptual Compilation 『霧の塔』
鷹の目からも見通せぬ樹海の奥、山羊の蹄も届かぬ崖の上、知る人無き古からひとつの塔がある。立ち入ろうにも扉が無く、壁には無数の文字が刻まれ、時折霧の息を吐くという。内に森羅万象を封じるとも、空虚のみがあるともいわれ、ただ噂話の中にのみそびえるその塔は、いつしか「霧の塔」と呼ばれた。