平凡な人生を紡ぐ静かな物語の魅力『光の犬』松家仁之著

北海道東部の枝留(この地名は架空らしい)に暮らす添島家の、三代にわたる人々の物語。特別な人物も登場しないし、ドラマチックな出来事も起こらない。薄荷の会社の役員の祖父、その連れ合いで助産師として忙しく生きた祖母、その夫婦の一男三女の子供たち。 三人の娘のうち、長女は堅実で働く女性として実績を積み、日常…