機械油と汗と本、『わたしの、好きな人』八束澄子著

さやかは12歳。小学6年生だが、彼女を生むとすぐ母親はいなくなってしまったため、父と8歳上の兄と、あとは彼女が物心ついた時からずっと住み込みで家業の鉄工場で働いている従業員の杉田と、男ばかりの家庭の唯一の女性であるゆえか、主婦代理のような、年齢よりも少し大人びた面を持っている。 いなくなった母親と入れ…