哀しくも美しい世界『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子著

上下の唇がくっついた状態で生まれた少年は、それが原因という訳でもないのだろうが、極端に口数の少ない子供だった。閉じた唇を開かせるための手術で皮膚が剝がれ肉がむき出しになった唇に、医師は赤ん坊の脛の皮膚を移植した。そのため少年の唇には産毛が生えていた。 離婚した母が実家に戻りやがて若くして病気で死んで…