クチナシの香りと過ぎ去りし日。

胸の奥をぎゅっと掴まれるような強くて艶やかな香りがした。 確かに知っている花の香りなのだけれど、すぐに名前が出てこない。 頭の中では、その香りをめぐって一人連想ゲームのようなことが始まっていた。 金木犀ではなくて……沈丁花でもなくて……、ほら、この時季の花。 などと思っていると、花の方がしびれを切らしたの…