『人間の建設』(小林秀雄・岡潔/著 ・ 新潮文庫)

(岡) 実際一人の人というのは不思議なものです。それがわからなければ個人主義もわからないわけです。そう言う事実を個人の尊厳と言っているのですね。利己的な行為が尊厳であるかのように新憲法の前文では読めますが、誰が書いたのですかな。書いた連中には個人の存在の深さはわからない。個人の存在が底までわかり、従…