さよならボキャブラリー

町野くんは言葉を大切に使うひとだった。私は町野くんのそういうところが好きだったのだけれど、町野くんにとっては必要があってしているだけのことだった。「あれ」とか「こっち」とか「そうして?」とか、不明瞭な言葉ばかりを使って話をする町野くんを、はじめのころはクラスメイトみんなが不審がっていた。でもそのう…