蝸牛随筆(10) 夜と光

汽水の川が海に注ぐあたり。 幾つもの川を横切って、平野を抜けて、小さな峠を二つ三つ抜けて、ようやくここまで来た。 実に三年ぶりである。かつての写真と見比べると、父の頭には白髪が増えて、祖母の座高はちょこなんと低くなった。毎年来ていた海端の宿には、既に夜が訪れていて、ここからの眺望はびろうどのような闇…