蝸牛随筆(28) でんしすと Ⅲ

スリッパが散乱していた。 治療室の前で靴を脱ぎ、そこでスリッパに履き替える段になって、どういうわけかスリッパが皆がら靴脱ぎに墜落している。誰かここで派手に転倒でもしたのだろうか。そんな音はしなかったし、別段転倒の心配がありそうなご年配の姿もない。 仕方なしに落ちたスリッパを拾っていると、何やら向こう…