蝸牛随筆(45) 暮れのこる雲に Ⅰ

暮れのこる雲のさそうようで、遠回りして帰ることにした。 何ということはない。おわりかけた日曜に用事を思い出して隣町まで出かけて帰ってきた、ただそれだけの話である。 時間を優先するのであれば、来たとおりに真っ直ぐな国道を帰ればよい。稲の穂はすでにして枝垂れ、中にはいくばくか黄色の兆しだした田もある。昼…