続・狂二 波濤編 1

月明かりが遠くの空で光ってるような、 春と呼ぶにはまだまだ遠すぎる 冬の夜明け前だった。 漁船に ヒョイと飛び乗った秀治は出航前の始業点検を念入りに 済ますと エンジンキーを捻った。 グルン グルルルル。。。。最初は低く重たい唸り声をあげていたヤマハ80馬力のエンジンは やがて軽やかに回り始めた。 ロープを…